ベトナム2 

ベトナム(ハノイ)版つけ麺と聞くブンチャーなるものを食した。昼ごはんに食べることが多いというこの風変わりな名前の麺は、その中身も風変わりだった。

まず大きなどんぶりに人参と大根の浮いたコンソメスープのようなものが出てきたのでこれがつけ麺の汁だと思ったら、実際そうだったのだが、すすってみて違和感。つめたく、酸っぱいのである。酸辣湯麺のような酸っぱさではない。酢漬けの味である。酢漬けを薄めた液体の底には細かくニンニクが沈み、ぽちぽちと浮かぶのは刻み唐辛子。人参をすくい上げてかじると淡白なキムチのようである。

それからふだんは生春巻きの間に入っている春雨みたいな米粉の麺が、ほぐされることもなく、もりっと供されて、それをこの酢漬けスープで溶いてほぐし、上にパクチーやらシソやらオオバやらレタスやらを盛る。最後にバーべキュー肉と肉団子を乗せて、ほぐれた麺と一緒にすする。バーベキューの時の脂っぽいにおいが服の表面に乗り移る。

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麺を食っているという感覚はなかった。代わりに、生春巻きの中身を広げ、酢漬け野菜とコリアンタウンのプルコギを乗せてむしゃむしゃ食べているという感覚があった。ああ、なるほどすでに私はこれを韓国料理と認識しているのだな。

なかなか新しい食べ物であった。