ネギだくフォー屋さんでいつものようにフォーガーを頼み、満腹になって支払いを済ませるときに、覚えたての「んのーん」(美味しい)を使う。
店を切り盛りするおやじとおばはんは夫婦と思われる。おばはんは愛想よく笑いながら何事かをまくしたて、おやじはむつりとしながらじっと頷く。私もつられて頷きつつ、なにかコミュニケーションをとりたくなって自分を指さしながら「ジャパン」といってみる。
すると、おやじの顔がぱっと明るくなり、ずっと言う時を待っていた、というように、「しんぞー」と声を張り上げる。
「??しんぞー?」
「ジャパン、しんぞー。ビエットナム、ホーチ・ミーン」
「アー、イエス、しんぞー・あべ、ね」
と答えつつ、それは違うだろうよと思う。さすがにホーチミン氏とは違うだろうよ。
日本における近代日本の建国の父的な人って誰なんだろう。坂本龍馬?いやそれはさすがに夢見がちだろうかね。などと思いながら商店でビールを買って帰宅した。
彼はその後も私を見ると「しんぞー」というので、3回目に私は自分から「しんぞー」と名乗るようになった。違うだろよ、わたし・・・