サモア人の多くは、今でも伝統的な「壁のない家」に住んでいる。家っていうか、葉っぱで葺いた屋根の下っていうか。雨よけの空間っていうか。形としては東屋とか草庵とかそんなところだけど、それは休憩とか思索とかの場所ではなく、れっきとした居住空間だ。サモアの人はこの空間をファレと呼び、この中でたべ、ねむり、生活をする。
一晩めは私もびっくりした。草屋根の下に、一組のせんべい布団が敷いてあるだけ。夜になると屋根に蚊帳をつるして眠るらしい。雨が降りこむときはすだれをおろすらしい。え、荷物は?雨は風は?虫は?セキュリティとか、プライバシーとかいうものは?
それが不思議なことに、すぐに慣れてしまった。どころか、すごく心地よく感じるようになった。 続きを読む