カテゴリー別アーカイブ: Japan

新春とんち

日本で元旦を迎えるのは実に8年ぶりだった。

IMG_9929 - コピー 2015.1.1 Barcelona

大事な友人が一時帰国したというので、カウントダウンがてら飲んできた。多幸感があり、それはどこからくるんだろう、って考えて、元旦をねむる。初夢をけむにまき、現実をたべてまぶたをひらく。

初詣してハシゴして、朝の9時に飲み屋を出たとき、かーっとまだ新しい太陽が、通りを橙に照らしていた。
そのときはっと、この1年間むにゃむにゃと思っていたことの、答えというか一つのあり方が見えたような気がした。帰る場所とは居場所であり、居場所というものは自分が居場所だと思えば居場所なのだろうなと。

居場所を作らないようにしていたのだろうなと思う。
身軽になりたい時期というのはたしかにあって、私はたぶんそれが長かったのだけど、身軽になることでより本質に近い場所に身を置けるような気がしていたのだ。自由と孤独はセットで、孤独の闇の中に研ぎ澄まされる思考がある。うん。それはきっと嘘ではなくて、しかし、私たちが対峙するものはそれだけではないのだ。

1年の頭に立てたとんちのような問いが1年経ったところで解ける(ような気がする)っていうのはなんて、なんていうことなんだろうなあ。
・圧倒的なもの。絶対的なもの。きちんと人生を生きていくということ。
・やさしさについて。人と違ってもいいのだということについて。
・場所はそこにあるのだということ。

まだ新春の酒が抜けてないけれどそれでもよい。生まれ変わった気すらする(それはうそ)。
今年はきっといい1年になる。そんな風に酒占いが言ってる。

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So-called Mt.Fuji / 帰る場所

今回の日本滞在はまる2日。出発前夜、いつものラーメン屋で〆じゃないほうのラーメンを食べ、いつもの飲み屋でしこたま飲んで、ついでにもう一軒、新しいバーでウイスキーを飲んでいるともう明け方だった。
オーバーコートとブーツとメイクと、一緒に酒臭さを落としきらないまま家に戻って、返す刀でスーツケースを引っ提げてタクシーに乗り、羽田で朝の〆ラーメンをすすってから、8時50分のフライトで日本を離れた。

2015.1.10

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Noodle to come, Yuzu sio-Maro aji / 油おおめ味こいめ麺かため

Taking a walk, drunk, saying hi to something I can’ miss when I’m back in here. 言わずもがな、〆の阿夫利です。

2015.1.8

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Yesterday’s World / バックパッカー

成田からの帰り道に近所の焼き鳥屋に寄って、家までワンメーターをタクシーに乗った。赤いスーツケースはトランクに積み込んだ。
玄関からは実家のにおいがする。私は家族にただいまと告げて風呂に入る。ただいま。ただいま。ただいま?うん、なんかこうじわっと来る安堵の感覚がうすい。とつぜん身体がずんと重くなる実家の重力が弱い。ただいま感が、すくない。うーん。
きっと今回はたった3週間の旅行だったからだ。ヨーロッパだったからだ。焼き鳥屋でけっこう飲んで来たせいだ。ラーメンで和食恋しさが一気にほぐれたせいだ。うーん。
いや、ちがう。ちがうちがう。肩の荷物を下ろしていないからだ。
肩に背負った生活を、自由を、手放したという感覚がないからだ。首筋まで食い込む孤独を、骨盤で支える旅の時間を、その時間の中にあった私自身を、帰宅とともに下ろすことができないからだ。
だから、旅っていうのはバックパックのことなのだ。少なくとも私にとっては。

2015.1.7

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Gave up backpacking turning into a suitcaser / スーツケーサー

2014.12.17

スーツケースを持ったら世界は変わるかな?と思ったのがきっかけだった。もう何年もバックパックで旅していて、スーツケースの取説が必要かしらとも思ったけれど、移行はスムーズに進んだ。私はゆとりある気持ちでワンピースやセーターやフランス語辞典やホッカイロなんていう荷物を詰めた。どれもバックパッカー時代には持ったこともない荷物なのに、厳選しなかった自分を後悔したりはしなかった。荷物に対してやさしくなれることって変化なのかしら?トルコで飛行機を乗り継いで最初の街パリに向かった。
パリで訪れた友人宅は5階建ての5階にあってエレベータがなかった。うわあとボルタリングの岩壁に取り付くときのような絶望感が少々。
掌にタコをこしらえ息を切らしながら上った先に、ヘーイと陽気な声で友人が迎えてくれた。あれ、なに、ユーコ、スーツケースなの?
そうそう、スーツケースを持ったら世界は変わるかなと思って、と私は息も絶え絶えに言い訳した。いや、でも、たったいま、変わったわ、と続けた。

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Menu for a Sushi tavern / シロサバフグはフグ目フグ科、マダカはスズキの2歳魚。なんだってさ

2014.12