Getting off the stairs and wow / トルコ雪
イスタンブールの空港に降り立って、エコノミーの通路をかりかりイライラと荒んだ心で通りながら、すっかり押し黙っていた私の前のロシア人が出口で立ち止って言った。雪だ!
雪には人の心をあたためる性質があるらしい。
開けた出口からタラップを降りる乗客の足取りはどこかリズミカルで、乗り込んだ連絡バスの中で交わされる会話も同じようにリズミカルだった。フランス人はフランスの雪を語り、レバノン人はレバノンの雪を語り、ロシア人はロシアの雪を語り、日本人は日本人の雪を語った。1月に雪が降ることなんて、普通なのよと、こともなげにトルコの雪を語るトルコ人の表情は、やわらかで華やかで少し誇らしげで、よくよく安心していて楽しそうだった。
2015.1.7